ユマニチュード取り組み施設紹介
自分のやりたいケアはこれなんだ!
― ユマニチュードをスタンダードなケアに ―

社会福祉法人 平成会 介護老人福祉施設さわらび 様

  • 常務理事 施設長
    早出 徳一 様
  • 係長 介護支援専門員 / 介護福祉士
    荒崎 香苗 様
  • 主任 介護福祉士
    西村 俊彦 様

以下 敬称略
病院・施設向け研修

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平成会について教えてください

社会福祉法人平成会は、長野県内23拠点に施設を構え、55の介護保険サービスを行っています。
「共に歩む」を理念とし、地域に根付いた介護事業法人です。さわらびは介護老人福祉施設になります。

ユマニチュード実践者育成4日間研修開催の背景を教えてください

早出: 今まで、法人の中でケアのマニュアルは存在していましたが、根拠のある(哲学を持った)ケア技法はなかったんです。

そんな中、ユマニチュードに関心を持ち、講演や入門研修や実践者研修の開催を長野県内で進めていく中で、ユマニチュードを平成会全体のスタンダードなケアにしようと、法人内6施設において、実践者育成4日間研修を開催することにしました。

研修受講後、ご利用者様・職員・職場の変化があれば教えてください

ご利用者様の変化が職員のモチベーションに

早出: 全体としては、ご利用者様がこんな風に変わった、こんな一面もあったんだ!という話は職員からよく聞きます。それが毎日ケアに携わる職員のモチベーションにもつながると思うんです。

また、受講後、働く職員の目標が明らかになり、「いいケアをしたい」というケアに対する姿勢がさらに強くなっている気がしますね。

「自分でできることを支えるケア」が信頼関係を結ぶ

荒崎: 具体的な例を挙げますと、ご利用者様に関しては、当施設に来たときから寝たきりで私たちは「立つことはできない方」として見ていたご利用者様がいました。入所されて8年の方です。
本人の意欲は見られず、ケアにおいてすべてお手伝いを必要とする方でした。

ベッドサイド実習において、ユマニチュードで関わりましたが、その時は「立つ」ことはできませんでした。
しかし、研修後も毎日継続的にかかわることで、今では介助で立って歩いて食堂まで行きます。
立位時には目の前の職員に対して、ご利用者様自ら手を差し伸べてくださいます。信頼関係が築けていると感じる瞬間です。

介護老人福祉施設に入所する方々の多くは、前施設から寝たきりの状態が多く、申し送りを見ても「すべてお手伝いを必要とする方」として入所されます。
しかし、ユマニチュードで関わると「この方は自分でできることがまだまだ沢山ある」ということに気づくことができます。

出会うときはノックをする 職場風土へ

荒崎: 職員・職場に関しては、職場風土としてノックをするようになったと思います。

それは研修に参加した職員が徐々に増え仲間が増えたこと、研修後もユマニチュードをやり続けていること、なぜノックが必要なのか?哲学的な部分を施設内で共有していったからだと思います。

やり続けなければ忘れ去られてしまうものです。今ではノックをしていない職員や、形式上ノックをしている職員のほうが目立つように感じます。


4日間研修で印象的なことはなんでしたか?

ご利用者様の「今」を“共に歩む”

西村: 転倒がきっかけで骨折をし、ずっと寝たきりになっているご利用者様を、今まで「歩けない方」だと思っていました。
しかし、ベッドサイド実習の中で立って歩いている姿とご利用者様の嬉しそうな表情を見たとき、私はうれしくて涙がこぼれたことを覚えています。

自分が行っている介護の仕事は、こんなにうれしい気持ちになると感動しましたし、「自分のやりたいケアはこれなんだ!」と感じる瞬間でした。

現在どのような活動をされていますか?

スタンダードなケアにするために

西村・荒崎: 平成会は、4日間研修を継続開催している6施設それぞれに、ユマニチュード浸透プロセスがあります。
当施設「さわらび」は、ユマニチュードを推進する委員会「ユマニチュードプロジェクト」を発足しました。メンバーは、施設長をはじめ初期の研修受講者で現在構成しています。
ユマニチュードのケアを全てのご利用者様に提供するという長期的な目標を定め、コミットするために活動をしています。
毎月1フロア3名ずつユマニチュードで関わる対象者を増やす、という方法で活動を継続中です。

ユマニチュードが風化していかないように施設全員で取り組むワークも開催しています。
ユマニチュードではないケアとユマニチュードで関わっているケア、2つ撮影した動画を見比べてもらい、違いはなにか?どこがいいケアといえるのだろう?と自由に意見を出してもらいます。
ユマニチュードプロジェクトでは、全職員がユマニチュードを継続し、スタンダードなケアにするための様々な案を出し合っています。

もちろん課題や悩みはあります。
しかし、法人内で取り組んでいる他の5施設と情報交換する場をもつことで、いいツールがあれば共有し、悩みがあれば一緒に考え、鼓舞し合いながら活動をしています。

今後どのような活動をしていきたいですか?

地域と“共に歩む“

早出: 法人内に浸透させることはもちろん大切ですが、私たちの法人だけが共有すべきではないと考えています。
この優しさが伝わるケア技法をより地域の皆さんに伝えていきたい気持ちがあります。高齢になり、要介護になり、困っている人は施設の人だけではないからです。
地域のより多くの困っている方々の支援として、ユマニチュードを取り入れた企画を考えたいと思っています。